EXHIBITION

Little tribe
Sakurako Hamaguchi
2024.11.7 – 2024.11.24
個展「あい.えふ」
によせて
ちかくの公園でヒマラヤ杉がゆれているのを、眺めて思い出す。
幼い頃、ともだちをつくることをおそれていた。
ころころとかわる気持ちを発露できる場所がなかなかみつからない。
草がぼーぼーないえの庭では、からだより大きな石が7つほどと犬のめいがいた。
日が暮れるまで、石の上をとびまわり、はしりまわる、そして、小さくすわり、泣くひもあった。
わたしたちの影はいつもいっしょだ。
庭の真ん中には大きな大きな杉の木。
そのうち、わたしの体はおおきくなり、思ったようにはうごけなくなった。
そのかわりに絵を描いた。
絵を描く行為自体が、ともだち、のようになった。
絵に描いた子供は紙の上で生まれ、わたしだけをみていた。
ある日は、なみだを流したり、ちいさく笑っている、また別の日には、怒っている、なんて、嬉しんだろう。
ともだちを描く右手をみやる。わたし以外だれが、わたしと一生いてくれるのか。
このこたちのことを、忘れないでおく。無視することは、わたしにはできない。
あなたのともだちはいまどこにいる。
「目に見えない人物で,名前がつけられ,他者との会話の中で話題となり,一定期間(少なくとも数ヵ月間)直接に遊ばれ,子どもにとっては実在しているかのような感じがあるが,目に見える客観的な基礎を持たない。物体を擬人化したり,自分自身が他者を演じて遊ぶ空想遊びは除外する。」
imaginary friendについて
1934年Svendsen
はまぐちさくらこ
画家。子供時代の感覚の解放を描く。
京都嵯峨美術短期大学絵絵画IIIコース卒業。
GEISAI2奈良美智賞、GEISAI 5金賞受賞。
美術出版社みづえ賞絵本部門大賞。
2010年「絵画の庭—ゼロ年代日本の地平から—」大阪国立国際美術館に出品。2014年「オバケとパンツとお星さま」東京都現代美術館に出品。国内外にて、イラストレーター、絵本作家としても活動中。
<出版>
「ぱぱごはん」ビリケン出版
「ぱんつちゃん」岩崎書店
<所蔵>
「黄色いにおいがやってくる」
「世界でいちばんつよいぼく」
「いっせーの100!」/大阪国立国際美術館